
雪の花(新潮文庫)
吉村昭
累計読者数3
平均ハイライト数 17件/人
推定読了時間 約3時間24分
star総合評価 62/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 63%
この本について
仕事でも人生でも、「正しいと思うことをやりたいのに、周りの空気に押されて動けない」みたいな場面ってありますよね。自分の中では筋が通っているはずなのに、反対されたり、理解されなかったりすると、だんだん自信まで揺らいでくる。僕も同じで、そういう時はいつも立ち止まってしまいます。 『雪の花』は、そんな迷いに真正面から触れてくる物語でした。種痘を広めようと奔走する笠原良策は、金銭欲や偏見、無理解とぶつかり続けます。でも彼が特別なヒーローかというと、そうではありません。怒ったり落ち込んだりしながらも、「人命を救いたい」という一点だけを手放さずに動き続ける。その姿が、僕には現実の仕事の悩みと地続きに見えました。とくに、了玄の“常識を鵜呑みにしない態度”や、良策が幼児を連れて雪道を進む場面には、考え続ける人だけがたどり着ける一歩ってこういうものなのかもしれない、と感じました。 この本は、意識高く前のめりにさせるタイプではなく、「迷いながらでも進んでいい」とそっと教えてくれます。昔の医師たちが国禁や偏見と向き合いながら新しい知を受け入れていった過程は、僕たちが現場で抱える息苦しさにもそのまま重なります。常識や慣習に違和感があってもすぐには動けない、でも目の前の正しさから離れたくない、そんな人に刺さると思います。
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出版社による紹介
数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘。それに絶対確実な予防法が異国から伝わったと知った福井藩の町医・笠原良策は、私財をなげうち生命を賭して種痘の苗を福井に持ち込んだ。しかし天然痘の膿を身体に植え込むなどということに庶民は激しい恐怖心をいだき、藩医の妨害もあっていっこうに広まらなかった...。狂人とさげすまれながら天然痘と闘った一町医の感動の生涯。
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