
この本について
ときどき、自分のまわりで起きている分断や「敵/味方」の空気に、なんとなく言葉にしづらい居心地の悪さを覚えることがあります。誰かが強い言葉を使うたびに、その裏側には別の事情や感情があるんじゃないか…と考えてしまう。だけど、当事者の世界は外からはなかなか見えてこないんですよね。 『ネットと愛国』は、その“見えにくさ”を地道に追いかけた一冊でした。読んでいて刺さったのは、在特会の行動そのものよりも、そこに集まる人たちの「所属欲求」や不安が丁寧に描かれているところです。ネットで拾った“真実”に触れた瞬間に、世界が敵だらけに見えてしまう心理。疑似家族のようなコミュニティに救われる感覚。そして自分の実体験や違和感が、そのまま排外的な言葉へ変わっていく過程。本書はそれを一つずつ実在の人間として描いていて、単純な善悪に分けられない複雑さがそのまま残ります。 個人的には、「差別はいけない」では話が進まない場面で、なぜ人がそこに向かうのかを丁寧に見せてくれる点が大きかったです。ネット空間の“お手軽さ”が、どう入口になり、どう現実行動につながるのか。その距離感を知れるだけでも、今の空気の読み方が少し変わるはずです。 こういうテーマに真正面から向き合うのは重たいですが、分断の構造をちゃんと理解したい人には特に刺さると思います。自分の中のモヤモヤを整理したいときに、そっと置いておける本でした。
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