
カウンターエリート (文春新書)
石田 健
文藝春秋 / 2025-04-18
この本について
政治や社会の話題って、距離を置きたいと思いながらも、なんとなく「今の空気の変化」を感じて落ち着かないことありませんか。右か左かという単純な話では片付かないし、ネットを眺めていると同じ出来事が全然違う物語として語られていて、「どれが本当なんだろう…」と迷うことがある。僕もその一人です。 『カウンターエリート』は、そのモヤモヤをすぐに晴らすような本ではないのですが、視界の焦点を少し合わせてくれる感覚がありました。たとえば、リベラルが理想論に偏りすぎて国家をつなぐ理念を見失ったという指摘や、逆にシリコンバレーのエリートたちが「アメリカ衰退」という認識のもとで別の道を模索しているという流れ。どちらの立場も、本人たちなりの現実認識があって動いていることがわかると、単純な善悪で捉えられなくなるんですよね。また、インターネットが二つの全く異なる公共圏として機能しているという説明は、日々の情報空間の分断を腑に落ちる形で言語化してくれました。 読みながら感じたのは、「自分がいま見ている世界の物語は、どこから来ているのか」を一度立ち止まって見つめ直すきっかけになるということです。特に、模倣の欲望というジラール的な視点から、エリートたちの思想形成を読み解く部分は、人間の欲望の動きとして捉えることで、政治を“遠いもの”ではなく“人間の行動”として理解できるようになります。 世界の変化を単純化せずに、自分の立ち位置を少し冷静に再確認したい人には、けっこう刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの14%が集中しています。
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