
城
フランツ カフカ、原田 義人
日本ビジネスプレス / 2020-10-30
この本について
仕事でも人間関係でも、自分ではどうにもならない力に巻き込まれているような気分になることがあります。動きたいのに動けないとか、相手の意図が見えないまま話だけが進んでいくとか、気づけば「何を頼られていて、どこまで期待されているのか」すら曖昧になるような瞬間です。最近、このあたりのモヤモヤを抱えている人が『城』からよく抜き出しているのを見て、ああ、そういう部分に刺さるんだよなと感じました。 この小説の人物たちは、とにかく噛み合わない状況の中で動き続けます。返事が別の部署に迷い込んだり、突然「助手だ」と名乗り出る者が現れたり、期待のようでいて実体のないものに振り回されたりする。読んでいると、自分の仕事で起きる「伝わっていると思ったことが伝わっていない」「必要かどうかすらわからないまま判断を迫られる」あの感覚に近いものが思い出されます。そこに共感が生まれると同時に、登場人物たちの戸惑い方や踏みとどまり方を見ていると、自分の中の不安や焦りを少し客観視できるんです。 特に、存在するかどうかもわからない期待にしがみついてしまう描写や、夜の蛾のように「小さくなりたいのにそうできない」気持ちが丁寧に描かれていて、無理に前向きにならずとも、人はそんなふうに揺れながら進むものなのかもしれない、と思えるところがあります。過剰な答えを与えてくれる本ではないけれど、自分の迷いの形が少し見えることで、身のこなしが変わるような一冊です。 こんな人に刺さるのは、「がんばりたいのに着地が見えず、足跡だけが増えていくような感覚のある人」です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
読書の順序
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