
日本の近代小説 (岩波新書)
中村 光夫
累計読者数5
平均ハイライト数 13件/人
star総合評価 44/100
start序盤集中型
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この本について
最近、「日本の近代って結局どんな流れで今の“文学観”ができたんだろう」「自分が読んでいる小説ってどんな地盤の上に立ってるんだろう」と、漠然としたモヤモヤを抱えている人に会うことが多いです。小説は好きなのに、背景となる歴史や価値観を言語化できずにいる…その感じ、僕もずっとありました。 中村光夫『日本の近代小説』を読んで意外だったのは、明治以降の小説が“伝統と輸入文化のあいだで揺れ続けた歴史そのもの”として見えてくることでした。文学が「開化」の一部になってしまい滑稽も諷刺も薄れたこと、自然主義が事実と真実を混同するほどまで突き進んだ理由、そして小説だけが日本人の精神のいちばん嘘の少ない鏡だったという指摘。こういう視点が入ると、作品の読み方が静かに変わります。単に「明治はこうだった」ではなく、なぜ漱石や鷗外や荷風があのような問題を抱えたのか、自分の生活感覚と地続きで理解できるようになるんです。 読書体験の“地図”がほしい人、自分の好きな小説をもう一段深く味わう土台を探している人には特に刺さると思います。僕自身、読む前よりもずっと、明治大正の作家たちが抱えていた不安や葛藤が自分のなかにも通っている感覚が強くなりました。小説の背景を知りたいけど専門書は重い…という人にほど、すっと入ってくる一冊です。
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