
生きとるわ (文春e-book)
又吉 直樹
文藝春秋 / 2026-01-28
この本について
人間関係で、どこまで相手に踏み込み、どこまで自分を守ったらいいのか。頭では「距離感が大事」だとわかっていても、実際の場面では曖昧なまま動いてしまって、後からモヤモヤが押し寄せることってあると思います。特に、お金や頼られごとが絡むと、正しさより先に「自分は冷たくないか」という不安が顔を出してくる。僕自身もずっとこの辺りで迷ってきました。 又吉直樹『生きとるわ』は、その曖昧さを、説得でも教訓でもなく、ただ人間たちの生々しさを通して見せてくる小説です。抜粋を読んでくれた方ならわかると思いますが、「助け合い」や「友情」といった綺麗な言葉の裏で、誰がどんな説明書を握っているのかが、人ごとじゃない形で描かれるんですよね。例えば、貸し借りの重さが人によって全く違うこととか、同じメールがコピペで送られていたと気づく瞬間とか、表向きの言葉と本心のズレが妙に身に覚えがある。そういう場面が続くことで、自分が無意識に背負ってきた価値観に少し距離が生まれます。 読んでいて痛い箇所も多いんですけど、不思議と救われるのは、「個と社会の境目ってどこか」という問いがずっと静かに流れているからかもしれません。誰も正解を持っていない世界で、それでも人に振り回されながら生きている登場人物たちに、自分の弱さごと許されるような感覚があるんです。 人との距離感に疲れやすい人、いつも“いい人”をやりすぎてしまう人には特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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