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殺人出産 (講談社文庫)

殺人出産 (講談社文庫)

村田沙耶香

河出書房新社 / 2014-07-15

累計読者数16
平均ハイライト数 6.3件/人
推定読了時間 約3時間46分
star総合評価 42/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 12%

この本について

日常を過ごしているだけなのに、「自分の感じ方は少数派なのかも」とか「私のほうが間違ってるのかな」と不安になることってありませんか。周りの“正しさ”が大きすぎて、自分の感覚がじわじわ押し潰されていくような、あの居心地の悪さです。僕もよくあって、正しさの基準を外側に置きすぎて疲れてしまうことがあります。 『殺人出産』は、そんなモヤモヤを極端な設定にまで突き詰めることで、「正しさって本当に一つなの?」という視点を強烈に揺さぶってきます。作中の人物が、殺意を清らかさと同列に語ったり、他人を“生活の邪魔にならない動物”として扱ったり、正義の形が人によって根本から違うことを平然と受け入れている世界。そのズレに触れていると、こちらの中にもある小さな違和感が、逆に少しだけ息をしやすくなるんです。自分が感じている「気持ち悪さ」や「これは受け入れられない」という感覚も、誰かの正しさに負けていいものじゃないんだと確認させられます。 さらに、本作には「被害者と加害者が一瞬で入れ替わる」という怖さと解放感が同時に描かれています。あの転換に救われる読者が多いのもわかります。ずっと耐えていた人が、世界の構造そのものを問い直した瞬間、はじめて呼吸できるようになる感じ。自分の世界がひっくり返る怖さよりも、「あ、選び直していいんだ」と思える軽さが残ります。 自分の感覚を押し殺しがちな人、周囲の“普通”にいつも置いていかれる感覚がある人には、とくに刺さると思います。極端な物語なのに、読むと自分の輪郭が少し戻ってくるような、不思議な一冊でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい―。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない...。三人での交際が流行する、奇妙な世界を描いた「トリプル」など、短篇3作も併録。普遍の価値観を揺さぶる挑戦的作品集。

目次

生命式 素敵な素材 素晴らしい食卓 夏の夜の口付け 二人家族 大きな星の時間 ポチ 魔法のからだ かぜのこいびと パズル 街を食べる 孵化
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