
罪の余白 (角川文庫)
芦沢 央
Bookwalker / 2012-08-31
この本について
人間関係の中で「自分だけ温度がズレてないか」とか、「相手の気持ちを読み違えている気がする」とか、そんな小さな不安を抱えたまま過ごす日ってありますよね。僕も、予定や習慣が崩れるだけでざわついたり、誰かの言葉の真意を読み違えて後から自己嫌悪したりします。 『罪の余白』を読んで印象的だったのは、そういう“ズレ”が物語のあちこちに積み重なり、それが人を追い詰める現実味をもって描かれているところでした。たとえば、早苗が「噓が見抜けない」と評される場面は、人からどう見られているか分からない不安をそのまま突きつけてくるし、真帆が休めない理由にしていた「取り残される恐怖」は、学生時代の自分にも覚えがあって胸に刺さりました。咲がブーツや足音の細部にまで苛立つ描写も、追い詰められた時の思考の偏りがリアルで、読みながら何度も身に覚えがよぎります。 この小説が効くのは、正義とか悪とかよりも、「人はどうしてこんな判断をしてしまうのか」を丁寧に見たい人だと思います。感情が乱れたとき、人はどんなふうに認知が歪んでいくのか。どこで道を間違えたのか。物語の中で極端な形になってはいますが、その根っこは日常と地続きで、だからこそ読み終わったあとに少し静かに自分の行動を見直したくなる本でした。 こんな人に刺さると思います。誰かの“暴走”をただ恐れるのではなく、その裏にある積み重ねを理解したい人。自分も他人も、もっと立体的に見られるようになりたい人。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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