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【合本版】世界99 (集英社文芸単行本)

【合本版】世界99 (集英社文芸単行本)

村田沙耶香

集英社

累計読者数20
平均ハイライト数 39.3件/人
推定読了時間 約11時間7分
star総合評価 76/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 40%

この本について

最近、自分の中に複数の「正しさ」が同居している感じがあって、どれが本心なのかよくわからなくなることがあります。周りに合わせているつもりはないのに、気がつくと世界が何層にも分かれて見えるというか。差別や感動の話題になると特にそうで、どこか他人ごとのような、でも確かに自分の中にもある感覚がじわっと重たく残る。たぶん、あの薄い違和感を言葉にできずに抱えている人は多いんじゃないでしょうか。 村田沙耶香『世界99』は、その“説明しづらい違和感”を、少しだけ輪郭のあるものとして見せてくれる小説でした。例えば、感動を「安全な場所にいる人間の娯楽」と切って捨てる感覚。差別心が自分の中にダウンロードされていく感触に気づく瞬間。気づけば無意識のうちにペルソナを切り替えている自分への居心地の悪さ。こういう、日常だと喉の奥で引っかかったままになりがちなテーマを、極端な世界設定に落とし込むことで、逆に自分の足元を見つめ直させられます。 読んでいて一番刺さったのは、「世界①と②と③と④の自分が同時に存在している感覚」が語られる場面で、これって大げさな比喩じゃなく、SNSや職場や家族の前で別々の自分を動かしている今の生活そのままだなと感じました。振り返ると、自分の“本物”を探すより、環境ごとの“使いやすい自分”を選んでいる時間のほうが長いんですよね。 現実を変える本ではないけれど、今の世界のどこに自分の違和感が引っかかっているのかをそっと照らしてくれる作品でした。自分の中にあるグロテスクさや曖昧さを無視せずにいたい人に、とても静かに刺さると思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

この世はすべて、世界に媚びるための祭り。 性格のない人間・如月空子。 彼女の特技は、〈呼応〉と〈トレース〉を駆使し、コミュニティごとにふさわしい人格を作りあげること。「安全」と「楽ちん」だけを指標にキャラクターを使い分け、日々を生き延びてきた。 空子の生きる世界には、ピョコルンがいる。 ふわふわの白い毛、つぶらな黒い目、甘い鳴き声、どこをとってもかわいい生き物。 当初はペットに過ぎない存在だったが、やがて技術が進み、ピョコルンがとある能力を備えたことで、世の中は様相を変え始める。 私たち、ピョコルンに、全部捨てられるようになりましたよね。 性欲を。出産を。育児を。介護を。人生の時間を食いつぶす、あらゆる雑務を。 14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。 しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。 そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。 ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。 村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。 都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに、人類が到った極地とは――。 『世界99 上』『世界99 下』を1冊にまとめた合本版! 【著者略歴】 村田沙耶香(むらた・さやか) 1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年『コンビニ人間』で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。
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