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世界99 下 (集英社文芸単行本)

世界99 下 (集英社文芸単行本)

村田沙耶香

集英社 / 2025-03-05

累計読者数20
平均ハイライト数 25.6件/人
推定読了時間 約5時間35分
star総合評価 71/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 44%

この本について

日常の中で、自分がどのくらい他人を無自覚に傷つけているのか、逆にどれだけ「被害者」でいたいと思っているのか。言葉にしづらいこのモヤモヤって、ふとした瞬間にじわっと出てきませんか。自分でも説明できない感情なのに、まともな答えを出さなきゃいけない気がして、ずっと胸の奥に残り続けるあの重さです。 『世界99 下』は、その重さを“解決”するというより、別の角度から照らしてくれる本でした。誰かを差別しているのに、差別される側に立った瞬間だけ自分が無垢になったように錯覚してしまうこと。かわいそうを消費する側とされる側の境界がゆるく溶けていく瞬間。過去の記憶が少しずつ他人の粒子と混ざり、自分の輪郭が曖昧になっていく感覚。それらを極端な設定の中で描いているのに、読んでいると妙に自分の生活と地続きに思えてきます。 私自身、誰かを「汚い感情を撒き散らす人」と切り捨てたこともあるし、逆に自分が誰かにそう思われていたんだろうなと気づいて冷える瞬間もありました。だからこそ、この本に出てくるやりきれない心の動きが、思った以上に刺さりました。読み終わったあと、“自分はどの世界に生きているのか”を改めて確かめたくなる感覚があります。 こんなふうに、自分の中の醜さや繊細さの境界がよくわからなくなる人に特に響くと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

小説というものの輪郭が、いわば地球を覗く窓の形が、本書によりまた大きく更新されました。 それはつまり、この本の中で初めて寛げる人がいるということです。 救済と爆弾は同じ姿で在れるのだと気付かされました。 朝井リョウさん(作家) 本当は貴方もわかっていたんだろう? と迫る声が脳内に鳴り響く。 熱に浮かされるようにページを捲る手が止まらない。 これは本型ワクチン。 世界99に誘われ、もう元いた場所へは戻れない。 宇垣美里さん(フリーアナウンサー・俳優) 足元の地面がふいになくなり、 正常と異常の境目が消え失せ、目眩がする。 人間という生き物の滑稽さ、グロテスクさ、美しさ、不思議さが、 この本の中にすべて詰まっている。 岸本佐知子さん(翻訳家) 空子がこの世界で体に蓄積する小さな暴力の音とか、風とか、どれも僕の心に刻まれていきました。 物語で一緒に過ごせた時間は、僕の宝です。 ロバート キャンベルさん(日本文学研究者) 私たち、ピョコルンに、全部捨てられるようになりましたよね。 性欲を。出産を。育児を。介護を。人生の時間を食いつぶす、あらゆる雑務を。 14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。 しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。 そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。 ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。 村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。 都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに、人類が到った極地とは――。 【著者略歴】 村田沙耶香 (むらた・さやか) 1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。
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