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苦役列車(新潮文庫)

苦役列車(新潮文庫)

西村賢太

新潮社 / 2012-04-20

累計読者数4
平均ハイライト数 10件/人
推定読了時間 約1時間40分
star総合評価 61/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 81%

この本について

人と関わるとき、相手の「腹の底」がふと見える瞬間ってありますよね。自分のほうにも黒い部分があるのは分かっているのに、妙にざらついた感情だけが残る。頭で割り切ろうとしても、どこかにモヤモヤが残ったままになる。その感覚をどう扱えばいいのか分からないまま、大人になってしまった人も多いと思います。 『苦役列車』は、そのモヤモヤをきれいに整理してくれる本ではありません。むしろ、読みながら「分かるけど…きついな」と息が詰まるほど、登場人物のどうしようもなさが真正面から描かれています。抜粋を見ても分かるように、学歴や教養への劣等感、人に対する被害妄想めいた苛立ち、くだらないプライドのせいでうまく距離が取れない自分…。ああいう感情をこんなにも率直に書く小説は、なかなかありません。 読むと、他人の薄っぺらさに腹が立つとき、自分の卑屈さのほうも同じくらいみっともないことに気づかされます。そして「人間関係って、綺麗ごとだけでは到底やっていけない」という当たり前に、少しだけ冷静に向き合えるようになります。人を見下すインテリ的な態度も、極端な劣等感も、どちらか一方が正しいわけではなく、どちらも生きていく上での不器用さとして描かれているのが、この小説の効き方です。 他人との距離感がうまくつかめず、心の奥でいつもギシギシしている人に刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)

目次

苦役列車 落ちぶれて袖に涙のふりかかる
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