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苦役列車

苦役列車

西村賢太

新潮社 / 2012-04-20

累計読者数7
平均ハイライト数 6.6件/人
推定読了時間 約1時間40分
star総合評価 48/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 31%

この本について

仕事でも人間関係でも、自分の未熟さやどうしようもない部分に直面したとき、ふいに気持ちが沈むことがあります。まっとうに改善すればいいと頭では分かっていても、嫉妬や劣等感のほうが先に立ってしまう感じです。誰にも言えず、でも確かに自分の中にある“黒いもの”に振り回されるあの感覚に、思い当たる人は多いと思います。 『苦役列車』に刺さった方が保存している言葉を見ると、貧しさや学歴コンプレックスだけじゃなく、もっと根の深い自己嫌悪や卑屈さに反応しているように思えます。貫多が見せるみっともなさ、妬み、後ろめたい想像の暴走は、もちろんそのまま真似できるものではないけれど、自分にも似た衝動があることを静かに突きつけてくる。読んでいて決して気持ちよくはないのに、目を背けられなくなるのは、自分の一部を見せられているような感覚があるからかもしれません。 この小説が効くのは、きれいごとではなく「人間のどうしようもなさ」を正面から扱っている点です。貫多が落ちぶれたままにもがく姿は、反面教師であると同時に、自分の中の歪みを安全な距離から観察させてくれる鏡にもなります。誰もが抱える弱さを、少しだけ客観視できるようになる。読後に残るのは浄化というより、ああ自分にもこういう影の部分があるよな、という静かな納得です。 こんな人に刺さる作品です。自分の“嫌な部分”に名前をつけたくなるときがある人。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)
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