
問題は、躁なんです~正常と異常のあいだ~ (光文社新書)
春日 武彦
光文社 / 2008-02
この本について
なんとなく気分にムラがあって、昨日できたことが今日は全然手につかない。休めばいいのは分かっているのに、休むこと自体が不安になる。そういう揺れに振り回されていると、「自分はどこかおかしいのか」とつい構えてしまうことがあります。僕自身も、元気と不調のあいだで落ち着かない時期があって、説明のつかない感覚をどう扱えばいいのか分からずにいました。 春日武彦さんの『問題は、躁なんです』は、そうした“境界の揺らぎ”を大げさに病名へ結びつけるのではなく、もっと手触りのある日常の延長として扱ってくれる一冊です。読者が保存していた「きちんと養生すれば必ず良くなる」という一文は、まさにその姿勢を象徴していて、調子を崩した自分を異端として切り離さず、風邪と同じレベルで回復可能なものとして見ていい、という視点をくれます。無理に前向きになる必要もなく、どこでブレーキが壊れやすいのか、どんな場面で調子が暴れやすいのか、といった“クセの観察”に重心が置かれているのも救いでした。 特に効いたのは、振り回されている自覚があるときの「距離の取り方」を、精神論ではなく現実的な行動として示してくれるところです。調子の良さを疑いすぎず、でも任せきりにもせず、生活のペースをひとつ戻すだけで変わる場面が意外と多いことに気づかされました。こんな人に刺さると思います──“不調というほどではないけれど、いつも自分のテンションに置いていかれる気がする人”。 大きな決断を迫る本ではありません。ただ、自分の揺れに名前をつけて、少しだけ扱いやすくするための現実的なヒントが詰まっています。
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