
古寺巡礼
和辻 哲郎
岩波書店 / 202511
この本について
仕事でも生活でも、頭の中で物事を分けすぎてしまうことがありませんか。効率とか、趣味とか、休息とか、ぜんぶ別々の箱に入れて考えるうちに、逆に自分が何を大事にしたいのか分からなくなる、あの感覚です。僕自身、忙しくなるほど「生活がバラバラになっている気がする」というモヤモヤが強くなっていました。 和辻哲郎の『古寺巡礼』を読むと、その分断が少しずつほぐれていきます。仏像の造形を語っているはずなのに、「写実なのに人間以上のものを示す」とか、「超人的なものと人間らしさが結びつく」といった視点が、こちら側の生活にも意外と響いてくるんです。宗教・知・道徳のように境界を引きたくなる気持ちに対して、「それらは本来ひとつの生活に同居している」という示し方をされると、自分の悩みの根っこが少し見えてくる。分けることに慣れすぎて、全体として感じる力が弱っていたんだなと気づかされます。 さらに、筆者が「大唐の気分」や「諸文化が混じり合う鎔炉」といった表現で、仏像を文化の流れの中に置いて語っていくのも効いてきます。自分の価値観や感覚も、単独で存在しているわけではなく、長い歴史や他者との関わりの中で形づくられてきたと考えると、肩に入っていた力が少し抜けていく。今の自分の迷いも、もっと大きな流れの中のひとコマとして見られるようになる感覚があります。 だからこの本は、「ひとつの軸で自分を説明しようとすると行き詰まる人」に特に刺さると思います。美術や宗教の知識がなくても、仏像の前で立ち止まるような静かな時間を取り戻したいときに、そっと視点を整えてくれる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの78%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要






