
ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~ (メディアワークス文庫)
三上 延
KADOKAWA / 2017-05
この本について
人と向き合うとき、「相手の気持ちをどこまで読めばいいのか」とか、「自分の中の善意って本当に善意なのか」とか、そういう細かいモヤモヤにぶつかることってありませんか。仕事でも日常でも、相手の背景を知らないまま判断してしまって、後から妙に引っかかる。あの感じに近いところを、この本は静かに突いてきます。 『ビブリア古書堂の事件手帖2』はミステリーの形をしているけれど、物語の中心にあるのは“人の気配”です。例えば「他の人が触った本って、気持ち悪く」という素朴な違和感や、「善良になるということは、ぞっとするようないやなことかもしれ」という思いがけない揺らぎ。こういう感情をちゃんと拾い上げて、物語の中で少しずつ位置づけていくんですよね。本を手がかりに、誰かの過去の選択や沈黙が見えてくると、自分の中の判断基準がふっとずれる瞬間があります。 さらに印象的なのが、「書いたものは消せても、書かなかったことにはできない」という一文。これは、こちらが相手に踏み込まなかったことや、言わずに流してしまった時間もまた“事実として残る”という感覚に近いと思います。物語の中で登場人物たちが過去の小さな選択と向き合う姿を追っていると、自分の生活の中の見落としてきた部分にも自然と光が当たります。 ミステリーとしての手触りは軽やかなのに、読み終わったあとにじんわり残る余韻が強い本です。人の気持ちを読むのが苦手な人、あるいは「自分は人のことを分かったつもりになってるだけかも」と感じる人にこそ刺さると思います。自分のなかの視点をそっと調整してくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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