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火山のふもとで

火山のふもとで

松家仁之

新潮社 / 2025-01-29

累計読者数4
平均ハイライト数 22.8件/人
推定読了時間 約5時間20分
star総合評価 70/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 74%

この本について

仕事でも日常でも、相手にうまく考えを伝えられなかったり、自分のふるまいがどこかチグハグに感じたりして、あとから「なんであのとき何も言えなかったんだろう」と落ちこむことがよくあります。黙っている理由は自分の中にちゃんとあるのに、外からはただ沈黙しているだけに見える。そのズレに、どう向き合えばいいのか分からなくなることがあります。 『火山のふもとで』を読んで感じたのは、そのズレを無理に埋めようとせず、まず目の前の現実をひとつずつ観察することの強さでした。先生が天井の高さや障子の位置を淡々と示すように、ふだん気にも留めない細部が人の気持ちを左右している。それを言葉にして伝えることが、仕事にも人間関係にもそのまま効いてくるんだと腑に落ちます。なにかに押し切られる場面でも、自分の考えを言葉でたどれるようにしておくことで、相手とまともにやりとりできる余白が生まれる。建築の話をしているようで、けっきょくは生き方そのものの話なんだなと感じました。 夏の家で主人公のがたついたふるまいが少しずつおさまっていく描写も、この本の大きな魅力です。環境に身を置くことで気持ちが整っていく感覚がとてもリアルで、自分もこういう変化なら少しずつならできるかもしれないと思えます。仕事にも人にも迷いがちなとき、自分の態度や言葉の使い方をていねいに見直したい人に刺さる小説です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

ぼくが入社した村井設計事務所は、ひと夏の間、北浅間の「夏の家」へ事務所を移動する。そこでは稀有な感性をもつ先生のもと、国立現代図書館の設計コンペに向けての作業が行われていた。もの静かだけれど情熱的な先生の下で働く喜びと、胸に秘めた恋。そして大詰めに迫った中で訪れる劇的な結末。ただ夏が過ぎても物語は終わらなかった。かけがえのない記憶と生命の瞬きを綴る鮮烈なデビュー作。
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