
空色勾玉 「勾玉」シリーズ (徳間文庫)
荻原規子
この本について
人と関わるとき、何をどこまで差し出せばいいのか分からなくなることがあります。優しくしすぎて疲れたり、逆に距離をとりすぎて空回りしたり。強さも弱さも混ざり合っている自分を、どう扱えばいいんだろう…と立ち止まることがある人は多いと思います。僕もそうで、結局いつも「正しい答えって何なんだろう」と考え続けています。 『空色勾玉』に出てくる言葉をあらためて読むと、この物語が扱っているのは“光か闇か”みたいな単純な話じゃないんですよね。たとえば「情がないのではありません。憎むことより、愛することが好きなだけ」という一文は、自分の性質を一面的に決めつけず、その奥にある揺れや願いを丁寧に扱おうとする姿勢を思い出させてくれます。また、「あなたも闇の世界へ行きたいと望むなら行っていい」という言葉には、迷いを否定せず、経験しないと分からない痛みも肯定している温度があります。失敗する未来ごとひっくるめて、いまの自分の選択を尊重してくれる感じがあるんです。 さらに、「われわれはいつか死ぬ身であるからこそ…」というくだりは、別れや恐れを避けてばかりだと、人とのつながりそのものがぼやけてしまうことを静かに教えてくれます。大ごとじゃなくてよくて、たとえば誰かにひとこと声をかけるとか、少し心を開いてみるとか。その小さな行動の重さを思い出させてくれる物語だと思います。 自分の感情とどう向き合えばいいのか分からなくなる人、光と闇のどちらかに割り切れないまま立ち止まっている人に、そっと効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
読書の順序
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