
二十四の瞳 (角川文庫)
壺井 栄
岩波書店 / 2009-03
この本について
最近、人と関わるたびに「どこまで踏み込んでいいんだろう」と迷うことが多いです。相手が抱えているものに気づいたとしても、自分が何か言うことで傷つけてしまうんじゃないか、と足が止まる。逆に、見て見ぬふりをしたあとで「あれでよかったのかな」と後悔が残る。そういう宙ぶらりんな感覚、僕自身もしょっちゅう抱えています。 『二十四の瞳』の抜粋を見ていると、多くの人が刺さっているのは“他人の苦しさに触れたときの戸惑い”なんじゃないかと思います。「それを気のどくだと思わないの」という言葉は、単に優しさを語っているわけじゃなくて、誰かの痛みに真正面から向き合う覚悟を問いかけてきます。でも同時に、教師である主人公ですら揺れているし、正解を持っているわけでもない。その不完全さが、こちらの迷いをそのまま許してくれるように感じるんです。 この物語が効いてくるのは、まず“ただ可哀想だと片づけない視点”をくれることです。何があったのか、なぜそこまで追い詰められてしまったのか。状況を想像する余白がこちらの想像力を動かしてくれる。もうひとつは、“自分のまなざしを濁さないとはどういうことか”を、押しつけではなく描写で示してくれるところです。綺麗ごとじゃなく、揺れながらも目をそらさないことの現実味を感じられる。読み終わっても、すぐ行動が変わるわけではないけれど、人に対する姿勢の微調整が自然と起きるような本です。 特に、誰かを気にかけたいのに、どう関わればいいのかわからず立ち止まってしまう人には、静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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