
ヒト夜の永い夢 (ハヤカワ文庫JA)
柴田 勝家
累計読者数5
平均ハイライト数 2.2件/人
推定読了時間 約11時間28分
star総合評価 35/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 28%
この本について
仕事でも人間関係でも、自分の考えが議論に押しつぶされたり、そもそも言葉の通じない力にねじ伏せられる感覚ってありますよね。正しさを積み上げても、世界のほうが平然と理不尽な方向へ動いていく。その温度差に疲れることが、僕はよくあります。 『ヒト夜の永い夢』の抜粋を読むと、読者が惹かれているのは「理屈で説明できない世界の歪みとの付き合い方」や、「人間の感情や倫理が入り込めない領域を前にしたときの無力さ」に触れている部分なんじゃないかと思います。この小説は、それを否定したり乗り越えろとは言わず、むしろ“そんな世界でも思考を続けるしかない人間”を淡々と描いているのが救いなんです。思想が議論に負け、議論が暴力に負ける構造を見せながら、それでも考えようとする存在の滑稽さと誠実さが混ざっていて、自分のモヤモヤを外側から見つめ直すような感覚になります。 もうひとつ効いてくるのは、多世界の描写の使い方です。夢の中で死者に会うのは、向こう側では彼らが生きているだけかもしれない、という視点に触れると、「自分が見ている現実の輪郭なんて案外あやふやなのかも」と思えてくる。正しさの勝敗ばかり気にしていた思考が、少し肩の力を抜かれるような感じがあります。何かを“無粋”と言い切る台詞も含めて、世界の捉え方そのものをずらしてくれる物語です。 理屈で整理しきれない現実に疲れつつ、それでも考えることを手放せない人に刺さる一冊だと思います。
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出版社による紹介
昭和2年。稀代の博物学者である南方熊楠のもとへ、超心理学者の福来友吉が訪れる。福来の誘いで学者たちの秘密団体「昭和考幽学会」へと加わった熊楠は、そこで新天皇即位の記念行事のため思考する自動人形を作ることに。粘菌コンピュータにより完成したその少女は天皇機関と名付けられるが―時代を築いた名士たちの知と因果が二・二六の帝都大混乱へと導かれていく、夢と現実の交わる日本を描いた一大昭和伝奇ロマン。
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