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レンマ学

レンマ学

中沢新一

講談社 / 2019-08-08

累計読者数3
平均ハイライト数 60.3件/人
推定読了時間 約6時間
star総合評価 70/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 35%

この本について

日常で考えごとが煮詰まってくると、「頭の中が線でつながった情報の列」みたいになってしまうことがありませんか。整理しているつもりなのに余計に複雑になったり、言葉にした瞬間に何かがこぼれ落ちる感じがしたり。自分もずっとその違和感を抱えたまま仕事をしてきました。 『レンマ学』を読むと、そのモヤモヤがただの混乱ではなく、そもそも人間の心に「ロゴス的に並べて理解したい力」と「輪郭が消えて響きとして世界を受け取りたい力」の両方が共存していることから来ているのだとわかります。たとえば、セザンヌが色のまとまりを「考える前に質量になる」と語ったり、詩が対句のバランスで世界を立ち上げたりする場面が出てきますが、ああいう瞬間って、説明より先に“まとまりとして感じる”回路が働いているんですよね。読みながら、自分の中にもずっとあったはずの感覚が言語化されていくのが心地よかったです。 もう一つ救われたのは、唯識や華厳の話が出てくるあたりで、「世界は固定した実体ではなく、因縁で立ち上がった表象でもある」という視点が、日常の判断に少しだけ余裕をくれるところ。何かに固執して動けなくなるとき、つい世界を“決まったかたち”で見てしまうけれど、本当はもっと波のように生成している。その感覚を思い出せるだけで、行動の軸が少し変わる気がします。 概念に窮屈さを感じる人、言葉の手前にある「まとまり」を大事にしたい人には特に刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

大乗仏教、哲学、量子論、言語学、精神分析、数学、生命科学、脳科学……を超えて、東洋知の結晶した華厳経の潜在力を大展開する未来のサピエンス学へ! 『チベットのモーツァルト』に始まった心と脳をめぐる探究の頂。文芸誌『群像』の連載「レンマ学」がついに単行本化!「レンマ」とは何か? 哲学者山内得立が著書『ロゴスとレンマ』で提出した概念によっています。「ロゴス」は「自分の前に集められた事物を並べて整理する」ことを意味しています。その本質は時間軸にしたがう線形性にあります。それに対し、「レンマ」は「直観によって事物をまるごと把握する」という意味です。西洋では伝統的に「ロゴス的知性」が重要視され、そのうちに理性といえばこの意味でばかり用いられるようになりました。ところが東洋では、「レンマ的知性」こそが、理性本来のあり方と考えられました。まさに仏教はこの「レンマ的知性」によって世界をとらえようとしたのです。大乗仏教、とりわけ『華厳経』が「レンマ的知性」による高度の達成を実現しようとしました。現在、人間的理性能力のうち、「ロゴス的知性」の部分をコピーしている、人工知能の急速な発達によって、より根源的なもう一つの理性能力である「レンマ的知性」の存在が逆説的に、鮮明に浮かび上ろうとしています。そして、「レンマ的知性」は、現代数学や量子論、言語学、精神分析、数学、生命科学、脳科学といった人間諸科学の解体と再編成をうながしていく可能性があります。この知的鉱脈を鈴木大拙や南方熊楠、井筒俊彦らは気づいていました。それを現在の知的装備を駆使して掘り起こす試みが、「レンマ学」です。 序第一章 レンマ学の礎石を置く第二章 縁起の論理第三章 レンマ学としての『華厳経』第四章 脳によらない知性第五章 現代に甦るレンマ学第六章 フロイト的無意識第七章 対称性無意識第八章 ユング的無意識第九章 レンマ的数論(1)第十章 レンマ的数論(2)第十一章 レンマ派言語論第十二章 芸術のロゴスとレンマエピローグ 付録一 物と心の統一二 レンマ的算術の基礎三 心のレンマ学/A Lemma Science of Mind あとがき主要参考文献索引
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