
レンマ学
中沢新一
講談社 / 2019-08-08
この本について
日常で考えごとが煮詰まってくると、「頭の中が線でつながった情報の列」みたいになってしまうことがありませんか。整理しているつもりなのに余計に複雑になったり、言葉にした瞬間に何かがこぼれ落ちる感じがしたり。自分もずっとその違和感を抱えたまま仕事をしてきました。 『レンマ学』を読むと、そのモヤモヤがただの混乱ではなく、そもそも人間の心に「ロゴス的に並べて理解したい力」と「輪郭が消えて響きとして世界を受け取りたい力」の両方が共存していることから来ているのだとわかります。たとえば、セザンヌが色のまとまりを「考える前に質量になる」と語ったり、詩が対句のバランスで世界を立ち上げたりする場面が出てきますが、ああいう瞬間って、説明より先に“まとまりとして感じる”回路が働いているんですよね。読みながら、自分の中にもずっとあったはずの感覚が言語化されていくのが心地よかったです。 もう一つ救われたのは、唯識や華厳の話が出てくるあたりで、「世界は固定した実体ではなく、因縁で立ち上がった表象でもある」という視点が、日常の判断に少しだけ余裕をくれるところ。何かに固執して動けなくなるとき、つい世界を“決まったかたち”で見てしまうけれど、本当はもっと波のように生成している。その感覚を思い出せるだけで、行動の軸が少し変わる気がします。 概念に窮屈さを感じる人、言葉の手前にある「まとまり」を大事にしたい人には特に刺さる一冊だと思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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