
フリーランチの時代
小川一水
早川書房 / 2008-07
この本について
最近、自分がどれくらい「変化に耐えられる人間なのか」がよく分からなくなることがあります。技術は加速するし、仕事も社会も気づけば別物みたいになっているのに、自分のアップデートは追いついているのか。そんな焦りのようなものを抱えたまま日々が進んでいく感じ、けっこうあると思います。 『フリーランチの時代』が面白いのは、圧倒的に未来の話をしているようでいて、そこで揺れるのは今の私たちとよく似た迷いだというところです。たとえば、人が老いる速度より医学が速くなる世界で、何を大事にして生きていくのかとか。どれだけ体が拡張されても、結局「意識とは何か」をめぐって悩みが残ることとか。さらには、自分の弱さに折り合いをつけつつ「もう少しタフでいたい」と願う主人公の心の揺れが、妙に現実と地続きなんです。壮大な宇宙船の描写や、記録媒体がアルミの球だった時代をめぐる語りも、結局は「人は何を残そうとしてきたのか」という問いにつながっていて、読むたびに視点が少しだけズレる感覚があります。 物語としてのボリュームもありますが、刺さる人には生活や働き方の見え方が静かに変わる本です。未来の話を通して、いまの自分の輪郭を確かめたい人に向いていると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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