
ディアスポラ
グレッグ イーガン and 山岸 真
文藝春秋 / 2014-02-07
累計読者数7
平均ハイライト数 7.7件/人
推定読了時間 約2時間48分
star総合評価 49/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 45%
この本について
仕事でも生活でも、自分の「選択肢の狭さ」をふと意識してしまうときがあります。環境に合わせて動いているだけで、本当に自分の意思で生きているのか分からない、そんな感覚です。ディアスポラの抜粋を見ていると、まさにそこに引っかかった人が多いように思いました。ヤチマやイノシロウが、自分の在り方を他者との関係の中で揺らしつづける姿は、遠い未来の話なのにずいぶん身近に感じます。 この本が効くのは、壮大な宇宙SFだからではなく、「選べると思っていることの本質って、意外と外側に規定されているよね」という感覚をそっと裏返してくれるところです。精神種子の描写がそうで、個性や自分らしさの源が完全にシステムと地続きであるという設定は、自由意志という重いテーマを唐突に振りかざすのではなく、登場人物たちのささやかな会話や迷いの中に溶け込ませてくれます。また、ヤチマが肉体人たちの怒りの前に立つ場面のように、正しさよりも関係性のほうが事態を左右してしまう瞬間が丁寧に描かれていて、自分の判断も同じくらい脆いのだと気づかされます。 派手な成長物語ではなく、変わりたくても変われない人がどう迷っていくかに興味がある人に刺さる本です。宇宙規模の話をしているのに、人間関係の息苦しさや救いのなさまでちゃんと持ち込んでくれるので、読み終わったあとにじわじわ効いてきます。
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出版社による紹介
“事故”により日本列島が居住不能となり、日本人は世界中の国々に設けられた難民キャンプで暮らすことを余儀なくされた。チベットのラサから2000キロ離れたここ、メンシイにも日本人の難民キャンプがある。国連職員としてキャンプを訪れた“私”の目に映ったのは、情報から隔絶され、将来への希望も見いだせないまま、懸命に「日本人として」生きようとする人々の姿だった——。3・11に先駆けること10年、破滅的な原発事故で国土を失った日本人を描き、日本人のアイデンティティを追究した予言的傑作「ディアスポラ」をはじめ2篇を収録。
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