
ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書)
中村淳彦
リイド社 / 2016-09-28
この本について
人とちゃんと関われていない感じが続くと、「自分だけどこか取り残されてるのかな」とふと不安になることがあります。仕事でも、家族でも、居場所の作り方がよく分からないまま年齢だけ重ねていく感じ。誰にも言えないけど、静かに積もっていくモヤモヤがあると思います。 『ルポ 中年童貞』を読んでいて刺さるのは、著者が“現象”ではなく“背景”を丁寧に追っているところです。たとえば、多くの人が保存していた「厳しい父性の不在」「母親との癒着から抜け出せない構造」「コンテンツ依存から距離を取る」という部分。どれも意識していないと気づきにくいのに、日常の選択にじわじわ影響してくる視点なんですよね。自分の問題を“気合”で解決しようとする前に、どんな環境が自分を形づくってきたのかを一度落ち着いて見直せる。 もうひとつ印象的なのは、介護現場の描写です。希望者全員が受け入れられる状況、そこに群がる薄汚いベンチャー企業の存在。読んでいて暗くなるけれど、「社会のほころびに人が吸い寄せられていく仕組み」を直視すると、自分が同じ状況に巻き込まれないための距離感もつかめます。仕事選びのとき、なぜか心がざわつく会社がある理由が腑に落ちるというか。 この本は、誰かを笑うための素材ではなく、「自分がどこでつまずきやすいのかをそっと照らしてほしい人」に合うと思います。劇的に人生が変わるタイプの本ではないですが、自分の立っている位置を少し俯瞰して見られるようになる。そんな地味だけど効く一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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