
ヤマケイ新書今そこにある山の危険
岩崎 元郎
この本について
仕事でも日常でも、つい「もっと頑張らなきゃ」と前のめりになって、気づけば頭がパンパンになることがあります。歩くように進みたいのに、走って転びそうになる感じ。山でも街でも、この“焦り癖”はけっこう尾を引くなと、自分でも思います。 岩崎元郎さんの『今そこにある山の危険』は、登山の技術書というより、そういう「自分のペースが見えなくなる」悩みに静かに効いてきます。たとえば、ゆっくり歩くことが事故を防ぐいちばんのコツだという話。秒速50センチで歩けば、一時間で1.8キロしか進まない。でも、そのくらいのペースじゃないと、自分の体力の落ち方や、足運びの癖なんて気づけないんですよね。山頂に辿り着くまで全力を使い切ってはいけない、という考え方も同じで、「余力を残す」って実生活でもなかなかできない。 それから、プレイヤーになるには頭を空にすること、という一節も印象的でした。山を歩いていると、悩みが勝手に縮んでいく瞬間がありますが、それは気合ではなくて、血が巡り、酸素が巡って、ようやく自分に戻れるからなんだろうなと感じます。老アルピニストたちの「内なる声を聞け」という助言も、決して精神論じゃなく、“自分の状態に鈍くなると命取り”という現実的な話として響きます。 登山のルールは自分で学び取るもの、という姿勢も含めて、この本は「ちゃんと迷いながら進んでいる人」に向いています。競争も正解もない世界で、自分の足の運び方を見つけていく。その感覚を思い出したい時にそっと手元に置きたい一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
読書の順序
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