
京都ぎらい (朝日新書)
井上章一
株式会社朝日新聞出版 / 2015-09-11
この本について
観光で京都に行くたび、どこかで「本当の京都はそんな単純じゃない」と言われているような気がして、モヤッとしたことがある人は多いと思います。歴史や文化に詳しいわけでもないのに、なぜか距離を取られている気がする…あの独特のよそよそしさの正体がわからないまま、大人になってしまった、みたいな感覚です。僕自身、京都に限らず“土地の空気”をどう扱えばいいのか悩むことが多いので、この本の視点はかなり助けられました。 井上章一さんが書く『京都ぎらい』は、京都批判の本というより、「京都とは何か」という固定観念をいったん壊してくれる一冊です。たとえば、方言の表記ひとつにしても、著者自身が“国家権力に踏みにじられた被害者”のように語るユーモアがあって、京都が特別というより“普通の地域のひとつ”として見えてくる瞬間が多いんです。また、観光客がありがたがる大寺院の多くが、実は江戸幕府の影響で成り立っているという指摘も、ありがちな千年の都イメージをほぐしてくれます。さらに、洛中と洛外の微妙な区分が、重い差別が薄れたあとにも形を変えて残っているという話は、地域コミュニティに潜む“見えにくい線引き”を考えるきっかけになりました。 京都を知りたい人向けというより、「場所と人の関係に振り回されやすい人」に刺さる本だと思います。観光ガイドでは拾えない、土地の“気まずさ”の背景を理解できると、ちょっと肩の力が抜けますし、自分の住んでいる街の見え方も変わります。京都に愛がある人も、苦手意識がある人も、どちらにも静かに効いてくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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