
スタッキング可能 (河出文庫)
松田青子
河出書房新社 / 2013-01-30
この本について
仕事でもプライベートでも、気づけば「そういうキャラ」に当てはめられて、なんとなく合わせてしまう瞬間ってありますよね。笑っておけば角が立たないとか、率先して動けば“気が利く”と思われるとか。自分でも正直しんどいのに、周りの空気に飲まれてしまうあの感じ。僕も何度もやってきたし、今も完全には抜けられていません。 『スタッキング可能』の抜粋を見ていると、あのモヤモヤを「いや、それおかしくない?」と具体的な場面で言語化してくれている感覚があります。男の側が勝手に決めている“女らしさ”に合わせないと、驚かれたり、怒っている扱いをされたりするあの理不尽さを、登場人物が淡々と拒否していく。その姿が、こちら側の視点をちょっとだけ強くしてくれるんです。「この違和感、気のせいじゃなかった」と思えるだけでだいぶ呼吸がしやすくなるというか。 もうひとつ、この本は怒りをただ増幅させるのではなく、むしろ「どう振る舞うか」を自分で選び直す感覚を渡してくれます。たとえば目の前にシーザーサラダが来ても取り分けない、とか、無理に笑わない、とか。小さな行動のラインを自分で引き直すことがどれだけ自由につながるか、意外と忘れがちなんですよね。そして、化粧品会社の“ちふれ”の語源のくだりのように、思わずクスッとする視点が急に入ってくるので、読みながら肩の力が抜けていく瞬間もあります。 “自分の当たり前を周囲に上書きされがちな人”には特に刺さると思います。今の生活をいきなり変えなくてもいいけど、「ここだけは譲らない」を少しずつ取り戻したい時に、そっと背中を押してくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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