
この本について
日々、人の「境界」みたいなものにモヤっとすることありませんか。歴史を学んできたはずなのに、非人とか遊女とか、名前だけは知っていても実際どんな役割で、どんな扱われ方をしていたのか全然つかめない。自分の中の理解が曖昧なまま放置されていて、どこか気持ち悪い。そんな感覚に心当たりのある人には、この本はかなり効きます。 読者が保存していた抜粋を見ると、令外や免田、陵戸、貢御所みたいな制度系の語彙と、遊女や桂女、蓬髪、遁世者といった具体的な人々の姿を行ったり来たりしているんですよね。つまり、「名前は知っているのに実体がつかめない階層」を、自分の中でちゃんと位置づけたいというニーズが強いのだと思います。この本はそこを丁寧に掘り下げてくれる。特に、縄文・弥生レベルから東西で“穢”の扱いが違っていたという視点は、単なる差別史観から抜け出して、もっと長い時間軸で社会を見直すきっかけになりますし、桂女が鵜飼の女性たちで、鎌倉期には鮎売りとして「おほやけもの」と呼ばれていた、という具体的な再解釈は、固定観念をひっくり返される感覚があります。 中世社会って、暗いとか残酷とかいう単語でまとめられがちですが、実際に細部を知ると、そこには制度と宗教と地域性が複雑に絡み合った“生きた社会”が広がっています。自分の中の歴史の解像度を一段上げたい人には、とてもぴったりの一冊だと思います。
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