
パリわずらい 江戸わずらい 浅田次郎エッセイ集 (小学館文庫)
浅田次郎
累計読者数3
平均ハイライト数 2.3件/人
star総合評価 38/100
boltライト読書型
この本について
最近、移動や旅の時間がぜんぜん楽しめなくなったな…と感じることがありませんか。空港でも駅でも、ただ「次の仕事までの待ち時間」として処理してしまって、昔みたいなわくわくが湧いてこない。僕も同じで、旅そのものより、段取りや体調管理ばかり気にしてしまう時期がありました。 浅田次郎さんの『パリわずらい 江戸わずらい』を読んでいると、そんな凝り固まった感覚がゆるむ瞬間があります。たとえば、空港ラウンジでのカレーを「食傷ぎみ」と言いながらも嬉しそうに食べる姿や、フライト前の高揚感を「ロマンチシズム」と呼んでしまう余裕。こういう、旅のどうでもいいような細部を丁寧に拾い上げる視点に触れると、自分の移動時間ももう少し味わってみようかなと思えてきます。ちくわぶの項で見られるような、文化を軽やかに観察するまなざしもそうで、肩に力を入れずに世界を見る感覚を思い出させてくれるんです。 さらに、旅には三つの楽しみがあるという話も妙に納得感があります。準備、旅そのもの、記憶。この三つをきちんと受け取れていないと、どれだけ移動しても「ただ疲れた」だけで終わってしまう。僕も読みながら、自分が最近どこで楽しみを取りこぼしていたのか振り返るきっかけになりました。 忙しさの中で「移動が全部作業になってきた」という人には、特にしみると思います。大げさな成功論ではなく、日常の手触りを少しだけ取り戻したい時にちょうどいい一冊でした。
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