
「ヒットソング」の作りかた 大滝詠一と日本ポップスの開拓者たち (NHK出版新書)
牧村 憲一
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この本について
仕事でも趣味でも、何かを「作る側」に回ると、どうしても周りの評価や業界のルールみたいなものに縛られて、気がつけば自分の感覚がどこか奥に押し込まれてしまうことがあります。新しさを出したいのに冒険が怖かったり、逆に好きでやっているだけなのに「誰かの真似だ」と言われて落ち込んだり。そういうモヤモヤって、意外と誰にも言いづらいものですよね。 この本を読んで面白かったのは、大滝詠一さんの足取りから、そういう迷いへの向き合い方が自然と見えてくるところです。たとえば、レコード会社が安全圏で勝負する中でも、CMの世界なら「新しくてかっこいい」だけで門戸が開くという描写。自分の居場所がひとつじゃないことを、ちょっと肩の力が抜ける形で教えてくれます。また、スペクターとの類似を指摘されても「似てる曲が十六曲あるなら全部言ってみろ」と言い返すくだりは、単なる反論じゃなく、作り手としての覚悟と広い視野を感じさせてくれます。 派手な成功譚ではなく、迷いながらも少しずつ場所を選び、やり方を調整していく等身大の姿が丁寧に描かれているので、「自分もこんなふうに試行錯誤していいんだ」と思えるのが、この本の静かな効き目です。作り手としての姿勢に悩んでいる人に刺さる一冊だと思います。
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