
退歩を学べ アーユスの森新書
森 政弘 and 中央学術研究所
この本について
最近、がんばっているはずなのに視界がどんどん狭くなる感じがありませんか。前に進もうとしてアクセルを踏み続けているのに、むしろガラスにぶつかってばかりで、出口がどこにあるのか分からなくなるあの感覚です。僕自身、焦れば焦るほど判断が荒くなり、余計に空回りする時期がありました。 『退歩を学べ』が教えてくれたのは、「止まる」という行為を単なる休憩ではなく、進むための一部として見直す視点でした。外に正解を探して走り回るのではなく、一度立ち止まって内側を見ること。それは仏教でいう退歩の姿勢で、著者はこれをアクセルとブレーキの関係にたとえます。止まらない車が危ないのと同じで、内側を照らす時間がないまま進むほど、道を誤りやすい。行き詰まりを感じていた理由が、進み方ではなく“止まり方”にあったのかもしれないと思わされました。 また、退歩は決して進歩を否定するものではなく、むしろ両方がセットで働いて初めて動けるという考え方も腑に落ちます。外側に向かう行動と、内側に向かう省察。その二つをけんかさせないことで、ようやく自分の歩みが立体的になる。本書の具体的な例や禅の言葉のおかげで、「落ち着くこと」に後ろめたさを感じなくなりました。 前にばかり意識が向いてしまう人、焦りが習慣になっている人には特に刺さる一冊だと思います。進むために止まる──そんな当たり前のことを、やっと自分の言葉で理解できました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの69%が集中しています。
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