
「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。
小川たまか
累計読者数3
平均ハイライト数 38件/人
star総合評価 77/100
trending_up後半加速型
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この本について
日常でふと、「なんでこんなに言いづらいんだろう」と立ち止まることがあります。理不尽を受けても黙ってやり過ごしたり、誰かの苦しさを知っているつもりでも、実際に声をあげるほどの覚悟までは持てなかったり。分かるんだけど、動けない。その曖昧な場所にいる自分を、責めきれずに残している人も多いと思います。 この本は、まさにその“ためらい”の正体を丁寧に引き剥がしてくれます。たとえば、被害を訴えた途端に「面倒な人」扱いされる空気の話や、「これくらい」で済まされてきたことがどう積み重なっていくのか、あくまで具体的な出来事から語られていくので、読んでいて自分の経験の断片と自然につながっていく感覚があります。また、問題に関心が薄い人と実態を知っている人の間にある「見えている風景のズレ」がどう生まれるのかも描かれていて、対立より前に、対話がどれだけ難しいかが腑に落ちます。 劇的な解決策が提示されるわけではありませんが、「言わなかった側にも理由があった」「沈黙が弱さとは限らない」という視点が入ることで、自分の中の小さな罪悪感が少しほぐれていく本でした。ずっと言葉にできなかったモヤモヤに名前をつけたい人に、静かに効いてくる一冊だと思います。
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