
没イチ―パートナーを亡くしてからの生き方―
小谷みどり
新潮社 / 2018-10
この本について
大切な人を失ったとき、周りのペースと自分の気持ちがまったく合わなくなる瞬間ってありますよね。表情が普通なだけで「元気そうでよかったね」と言われてしまったり、逆に悲しんでいるふりをしなきゃいけない場面に疲れてしまったり。感情だけじゃなくて、手続きや生活の段取りまで一気に自分にのしかかってきて、「これ、どこから手をつければいいんだろう」と立ち尽くしてしまうあの感じです。 『没イチ』は、その混乱を「こう感じるのは普通だよ」と静かに言ってくれる本でした。まず、死別のプロセスを一つの“正解ルート”に押し込めない姿勢がとても救いになります。ショックや否認が行きつ戻りつするのは自然だし、「受容しなきゃ」と焦らなくていい、と研究を踏まえて書かれているので、自分のペースを取り戻す足場になります。また、感情面だけでなく、戸籍や届出の手続き、親族との調整といった現実的な負担についても具体的に書かれているのがありがたいところです。悲しみの中で判断を迫られやすい部分を、前もって“見通せる形”にしてくれます。さらに、生活の再構築についても、急に大きな希望を持てとは言わず、身だしなみを整えるとか、今日行く場所をつくるとか、本当に小さな行動から回復していく流れが描かれていて、無理がありません。 「誰かを失った後の生活と気持ちの両方を、どうやって抱えていけばいいのか」がぼんやりしている人に静かに効いてくる本だと思います。自分のペースで立て直したい、そんな人に届いてほしい一冊です。
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多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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