
エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫)
佐々涼子
この本について
身近な人の死について、どう向き合えばいいのか分からなくなる瞬間ってありますよね。時間が解決すると言われても、その「時間」をどう過ごせばいいのかは誰も教えてくれないまま。強がって前に進もうとすると余計につらくなるし、かといって立ち止まり続けることにも不安がつきまとう。そんなモヤモヤを抱えたまま日常を続けている人は多いと思います。 『エンジェルフライト』は、国際霊柩送還士という、遺体を故郷へ送り届ける人たちの仕事を追ったノンフィクションです。でも、ただ特殊な職業の裏側を覗く本ではありません。読んでいるうちに、亡くなった人と残された人がどう関係を結び直していくのか、そして「きちんと悲しむこと」にはどんな意味があるのかが、静かに立ち上がってきます。遺族が涙を止めるのではなく、その涙が流れきれる場所を整えることこそが彼らの役割だという視点は、自分の悲しみの扱い方を少し変えてくれました。 印象的だったのは、悲嘆を避けるのではなく、ちゃんとくぐり抜けることで心の奥の静かな場所にたどり着ける、という考え方です。これは死別に限らず、人生で何かを失ったときにも当てはまる感覚だと思います。誰かを忘れないまま前に進むというのは矛盾じゃないんだ、と腑に落ちました。 大切な人を亡くした経験がある人はもちろん、過去の痛みがまだ胸のどこかに残っていると感じる人にもやさしく届く本です。自分のペースで読み進めて、今の自分に必要な部分だけ受け取ればいいタイプの一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの48%が集中しています。
読書の順序
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