
特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録
特掃隊長
ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2012-04-13
累計読者数8
平均ハイライト数 7件/人
推定読了時間 約2時間
star総合評価 50/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 42%
この本について
ふとした瞬間に、自分の人生がどこか“薄く”感じるときがあります。忙しくしていればごまかせるけれど、静かになると「このままでいいんだっけ」と落ち着かなくなる。頭では有限性なんてわかっているのに、実感としては遠いまま……その距離感がモヤモヤの正体なのかもしれません。 この本は、死亡現場を20年見てきた著者が、死を語ることで“生きる側”の視点をそっと変えてくれます。強いメッセージというより、現場で出会った人たちの言葉や、遺族のふるまい、著者自身の小さなつぶやきが続いていく。その中で、例えば「自分の無力さを知ることから始まる生き方」や、「今日一日で人生が終わると仮定したときの自分の態度」みたいな、日常の行動を少し変えるヒントが見えてきます。死を怖がる自分も、折り合いがつかないままの自分も、そのままの形で扱っていいんだと思えたのが、読んでいて救いでした。 そして、遺体を“将来の自分”として見たときの感覚や、他人の痛みに胸が動く瞬間の話など、自分と他者の境界の扱い方も静かに問い直されます。大げさな希望は示されませんが、腐りやすい心身をどう新鮮に保つかという等身大のテーマが、妙に日常へ持ち帰りやすい。 日々の生活の中で「どうしても前向きになれない時間がある人」に刺さる一冊だと思います。
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出版社による紹介
「特殊清掃」とは、遺体痕処理から不用品撤去・遺品処理・ゴミ部屋清掃・消臭・消毒・害虫駆除まで行う作業のこと。通常の清掃業者では対応できない特殊な清掃業務をメインに活動している。 孤立死や自殺が増え続ける、この時代。その凄惨な現場の後始末をするなかで著者が見た「死」と、その向こう側に見えてくる「生」のさまざまな形は、読者を不思議な感動に誘う。 「特殊清掃」 今はいろいろなところで使われている言葉だが、もとは私の会社がつくった造語。そして、当社は、この特殊清掃の先駆企業である。 仕事の内容は、人間遺体・動物死骸・糞尿・山積ゴミなどに関係する特殊な汚染汚損を処理するというもの。 凄惨な現場に遭遇することや過酷な作業を強いられることも多く、陽の目をみることが少ない汚仕事である。 「特掃隊長」 この呼称は、本書のもとになったブログの運営管理を担っている管理人(同僚)が命名したもの。 会社組織上の肩書でも、実社会でのニックネームでもなく、あくまで、ブログ上での呼称。 そんな特掃隊長は、自分が喜んでいるほど善い人間ではないだろうけれど、自分が悲しんでいるほど悪い人間でもないかもしれない。また、自分がうぬぼれているほど賢くはないだろうけれど、人が思っているほどバカではないかもしれない。 内向的、悲観的、神経質、臆病、怠け癖、泣虫、ネクラなどなど、その性格に多くの問題を抱えるくたびれた中年男である。 私は、今まで、幾人もの死を体感し、幾人もの生を垣間見てきた。 目に見えるものを片付けるなかで、目に見えないものをたくさん目の当たりにしてきた。 すべての儚さを思い知らされつつも、死痕を消して生跡を刻み、死を生に転化させてきた。 命とは、生とは、死とは何であるか、それを探求したがる本性に心を揺さぶられてきた。 そして、自問自答を繰り返しながら、浅慮も省みず、それらを本にして出版することにしてみた。 読み手の一人ひとりが、ここから何を読み取るか、何を受け取るか、そして、自分の価値観にどう響かせ、生き方にどう反映させていくのか、私にはわからない。 そもそも、そんな何かが本書にあるのかどうかもわからない。 ただ、せっかく手に取ってもらったのだから、読んだ後、その心に少しでもよいものが残れば幸いである。
読んだ内容を、もう忘れない。
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