
対象喪失 悲しむということ (中公新書)
小此木啓吾
累計読者数7
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この本について
人と別れたあと、時間だけが過ぎていくのに、気持ちのほうは置いてきぼりのまま。相手を美化したり、一方で「もうどうでもいい」と切り捨ててみたり、その揺れの中で自分でも何が本心なのか分からなくなることがあります。過去の関係に引きずられているのか、それとも単に立ち直れていないだけなのか。その区別すらつかない時期ってありますよね。 『対象喪失 悲しむということ』を読んで強く感じたのは、そんな揺れを「弱さ」ではなく、ごく自然な心の動きとして扱ってくれるところです。理想化と幻滅を行き来するのも、自分を守るための防衛だったり、喪失の重さゆえの反応だったりする。無理に忘れようとするより、関係を一つずつ思い返す作業そのものが、少しずつ気持ちを前に進めてくれるのだと教えてくれます。誰かに語ることでようやく整理が始まる、という指摘も、身に覚えがある人は多いはずです。 喪失からの回復を「気合」や「切り替え」で片づけられないタイプの人には、とくに刺さると思います。自分の揺れ方そのものに意味があると知るだけで、いまの混乱を少し違う角度から見られるかもしれません。
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