
障害者の傷、介助者の痛み
渡邉 琢
青土社 / 2018-12
この本について
介助や支援に関わっていると、「相手のために動いているはずなのに、どこかすれ違ってしまう」とか、「自分はどこまで踏み込んでいいんだろう」という迷いが消えないことがあります。現場で起きる小さな違和感や、言葉にしづらい疲れの正体が自分でもよくわからないまま、ただ積み重なっていく感じです。 『障害者の傷、介助者の痛み』は、その曖昧なモヤモヤを、きちんと言葉のある場所まで引っ張り出してくれる本でした。たとえば、介助には「待つ」ことがあるとよく言われますが、この本ではさらに、ただ受け身で待つのではなく、相手の言葉を聞き返し確認しながら、自分の主体も立ち上げていくプロセスが描かれています。また、介助者が無自覚に当事者の前に立ってしまう場面や、逆に後ろに隠れてしまう場面がなぜ起きるのか、その背景にある非対称な力関係まで丁寧に扱っていて、読んでいると「なぜあのとき自分はああ動いてしまったのか」が少しずつ腑に落ちます。制度の話も具体的で、ただ理念を語るのではなく、実際に地域で自立して暮らすにはどんな現実的な条件がそろわないといけないのかが見えてきます。 介助やケアに関わる人だけでなく、「他者との距離の取り方にいつも迷いがある人」にも刺さると思います。自分の立ち位置が揺らぎ続ける関係の中で、何を大切にすればいいのかを考えるきっかけになる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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