
平成史 (小学館文庫)
佐藤優、片山杜秀
この本について
最近、社会の空気をつかみにくいというか、自分がどこに立っているのか分からなくなる瞬間ってありませんか。何かあると「メンタルケアに行けばいい」「専門家に相談すればいい」と言われるけれど、それで本当に安心できているのかは人それぞれで、どこか腑に落ちないまま日々が進んでしまう。僕自身も、そのもやっとした感覚を持ったまま働いていました。 『平成史』を読んで印象的だったのは、平成の社会がどんな価値観のシフトを経験してきたのかを、人と制度と文化の目線から丁寧にたどってくれるところです。例えば、宗教的な「懺悔」の仕組みがカウンセラーに置き換わり、心のケアが社会の安心装置になっていった流れは、いま僕らが感じている“説明してほしい”“納得したい”という感情の土台とつながっていたりします。あるいは、サブカルや性産業の存在感が自然と大きくなっていった背景も、平成の社会全体のゆるい価値観の変化として語られていて、単なる現象以上の意味があったのかと気づかされました。 特に刺さったのは、モンテスキューが言う「中間団体」の話です。国家と個人のあいだをつなぐものが弱ると、民主主義そのものが不安定になるという指摘は、会社も地域もコミュニティも薄くなりがちな今の空気と重なります。距離感のある生き方が楽な反面、それがどんな影響を与えてきたのかを、平成という枠で見直せるのがこの本の強みだと思います。 ひと言でいえば、社会の変化に振り回されている気がする人に静かに効く一冊です。今の自分の感覚がどこから来ているのか、少し客観的に見たいときに手元に置いておくといいと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの75%が集中しています。
読書の順序
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