
ソーシャルメディアの生態系
オリバー・ラケット, マイケル ケーシー, and 森内 薫
東洋経済新報社 / 2019-06-28
この本について
仕事でSNSに向き合っていると、「何が人の心に刺さるのか」「どうしたら広がるのか」を考えるわりに、結局はアルゴリズムの波に振り回されているだけじゃないか…と、ふと虚しくなることがあります。情報の流れが速すぎて、自分が何をコントロールできるのかもよく分からなくなる瞬間があります。 『ソーシャルメディアの生態系』は、そういうモヤモヤに対して、無理に希望を盛ったりスキルを上乗せしたりする感じではなく、まず「いま目の前で起きている現象の本質」を静かに整理してくれます。たとえば、ミームが人の“受容体”にどう付着して広がるのかとか、怒りや不安といった感情がどんなふうに拡散を後押ししてしまうのかとか、普段なんとなく感じていた違和感の輪郭がくっきりしていきます。そこから、「ソーシャル上で人を動かすことは命令ではできない。だからこそ、感情でつながれるメッセンジャーをどう見つけ、どう関わるかが重要になる」という視点が自然に立ち上がってきます。 個人的には、“自分以外の役割はコントロールできない”という一文にかなり救われました。SNSを仕事にしていると、全部を最適化しようと抱え込みがちですが、システムの複雑さを前提に、できる範囲でどこに作用点を置くかを考える姿勢に切り替えられます。芸術も政治もニュースも境界が溶けていく中で、私たちが発信するときに何を頼りにすればいいのか、そのヒントが点ではなく線でつながっていく感覚がありました。 SNSの「見えない力学」が気になっている人や、自分の発信がなぜ届かないのかを感覚以上の言葉で捉えたい人に、とても合う一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
読書の順序
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