
Ank : a mirroring ape (講談社文庫)
佐藤究
累計読者数4
平均ハイライト数 20.3件/人
star総合評価 54/100
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この本について
日々、人と関わったり、自分の判断に迷ったりしていると、「なんであの時うまく言葉にできなかったんだろう」とか、「自分の感情の正体がよく分からないまま動いてしまったな」と感じることがあります。理屈では説明できない反応や、咄嗟の行動の裏側に何があるのか。そこを知りたいのに、いつもモヤッとしたまま終わってしまう人は多い気がします。 『Ank:a mirroring ape』は、そのモヤモヤに正面から切り込んでくる小説でした。言葉は意志と行動の連続の果てに生まれる、という視点や、恐怖に陥ったとき人間が本能の古い層に戻ってしまう仕組みなど、自分の中にあるはずなのに普段は意識できていない動きを、かなり具体的に見せつけてきます。また、“鏡を見る自分をさらに見る”という構造が意識や共感を生み、それが言語につながるという考え方は、ふだん使っている思考そのものがどう成り立っているのかを静かに揺さぶってきます。 読んでいるうちに、日常で「なぜこう感じるのか」「なぜあの一言が言えなかったのか」という場面の裏側に、少しだけ手を伸ばせるようになる感覚がありました。派手な自己変革を promised するタイプの本とは違って、ただ自分の内側の構造を理解するだけなのに、行動の選び方がじわっと変わっていく。そのささやかな変化が、この作品の一番の効きどころだと思います。 自分の心の動きを、もう少しだけ客観的に見られるようになりたい人に刺さる一冊です。
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