
この本について
俳句をつくろうとすると、「季語を置いてみたはいいけれど、ただの説明になってしまう」「雰囲気はあるけど、自分でも何を書きたかったのか曖昧になる」みたいなモヤモヤにぶつかりませんか。僕も何度もそこで足が止まってきました。 凡茶さんの『佳句が生まれる「俳句の形」』は、その行き詰まりをぐっと具体的にほぐしてくれる本でした。たとえば、上五で舞台を決め、中七・座五で一番言いたいことを述べる、という当たり前のようで実はできていない骨格の話。「や」の直前の語が句の中心になるから、季語や名詞の選び方がすべてを左右するという視点。さらに、季語と取り合わせの距離が近すぎても遠すぎてもダメで、説明にも在り来りにも寄らない“ちょうどよさ”を探す感覚。どれも、なんとなくでは掴めなかった部分が言語化されていて、自分の俳句のどこが弱いのかが見えてきました。 特に刺さったのは、説明的な句を避けるために「中七・座五を読んで上五が連想できてしまったらアウト」という指摘で、自分の癖がそのまま突かれた感じがしました。逆に、あえて句末を連用形にして切らずに終える選択肢があることや、「や」と「に」をセットで使うと句が締まる感覚など、実際に試したくなるヒントも多いです。 俳句が好きなのに、形の基礎が曖昧なまま感覚だけで詠んできた人ほど、腑に落ちる部分が多いと思います。技法書というより、迷いながら書く人の背中をそっと押すような内容でした。
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