
この本について
俳句を読んでも「何をどう味わえばいいのか分からないまま終わってしまう…」というモヤモヤ、けっこうありますよね。言葉が少ないぶん、こちらの読み方が整っていないと手がかりを失いやすい。僕自身、季語や切字がなんとなく「お約束」程度にしか見えていなかった時期が長くありました。 高浜虚子の『俳句とはどんなものか』は、その曖昧さをゆるやかにほどいてくれる本でした。たとえば季語が“時候の変化を受け止めるための装置”としてどんな働きをしているのか、切字が意味の段落やリズムをどう生むのか、俳句ならではの読み方を具体的に説明してくれます。抜粋にもありますが、「春」という字を重ねると重複感が出る理由や、「や」「かな」がどんなふうに句の締まりを作るのかといった細部が、言われてみれば腑に落ちる形で書かれているんです。気付いた瞬間に視界が開ける、あの“夜が明けたような心持ち”がそのまま言語化されていて、自分の読書ノートを読んでいるような気分になりました。 さらに、俳句が景色を叙する文学であること、そして写生という姿勢が“自分の頭の中だけで新しいことを作ろうとしない”という態度につながることも、この本の大きなポイントでした。観察に立ち返ることが、日常の見え方をじわっと変えてくれる。俳句を作らない人でも、この視点を持つだけで世界のノイズが少し整理される気がします。 俳句を「なんとなく難しそう」で止めていた人、あるいは言葉の扱いにもう一段深く踏み込みたい人に静かに刺さる一冊だと思います。
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