
この国の不寛容の果てに: 相模原事件と私たちの時代
雨宮 処凛
この本について
なんとなく、社会の空気に合わせて「行儀よく」振る舞わないといけない感じに疲れてしまうことがあって。自分が少しでも立ち止まったら置いていかれるような、イス取りゲームみたいな感覚もどこかにある。誰かを排除しているつもりはないのに、気づいたら「仕方ないよね」と自分の中で片づけてしまっている場面もある。そんなモヤモヤに向き合いたくて手に取ったのが、この本でした。 読んでみると、事件の背景だけでなく、いまの社会に漂う息苦しさの仕組みを、少しずつほどくように描いてくれます。「自立とは依存先が複数あること」という視点は、その一つ。強さや正しさを一つの基準に集約すると、そこから外れた人を簡単に切り捨ててしまう。でも依存先が多ければ、誰かを排除しなくても生きていけるし、自分自身も守られやすくなる。もう一つ印象的だったのは、対話を面倒だと切り捨てると、結果的に社会がより不安定になっていくという指摘。遠回りに見えるやりとりが、実は唯一の近道なのかもしれないと感じました。 そして本書が繰り返し示すのは、「問題があることそのものが悪ではない」という姿勢です。治らない状態を認めることが解放につながる場面や、「問題だらけで順調」という言葉が象徴するように、完璧でなくてもやっていける社会のあり方を探っていく視点が、どこか救いになりました。 社会の雰囲気にしんどさを覚える人、誰かを排除しないと立っていられないような世の中に違和感のある人に、静かに刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
読書の順序
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