
世界の性習俗 (角川新書)
杉岡 幸徳
KADOKAWA / 2020-04-10
この本について
周りから「常識だから」「昔からそうだから」と言われるたびに、どうにも引っかかることってありませんか。自分が変なのかと思いつつ、でも胸のどこかで「ほんとに?」という声が残る。僕もずっとその違和感と付き合ってきました。 『世界の性習俗』は、そのモヤモヤを正面から扱ってくれる本でした。性という切り口ではありますが、実際に見えてくるのは「伝統ってこんなに揺れるものなんだ」という感覚です。例えば、世界の大多数が一夫一婦制ではないとか、婚外交渉が制度として認められている社会が普通にあるとか、日本で当たり前と思っていた前提がいとも簡単にひっくり返されます。伝統を“守るもの”ではなく、人間の都合に合わせて“調整してきたもの”として捉える視点が手に入るのが、この本の一番の効き目です。 もうひとつ印象に残ったのは、「家族とはこうあるべき」という思い込みも、実は同じ構造でできているという指摘です。父と母がそろっていることが必ずしも子どものためになるわけではなかったり、一夫多妻制が妻側の希望によって維持されていたり、聞けば納得するのに自分では想像すらしていなかった話ばかりでした。自分の価値観が凝り固まっていた部分がほぐれていく感じがあります。 「この考え方、本当に自分のものなのか?」と立ち止まることが増えている人には、かなり刺さると思います。僕にとっては、世界を知るというより、自分が信じてきた“当たり前”のほうがよっぽど不安定なんだと気づかせてくれた一冊でした。
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