
この本について
親との距離感って、大人になってもずっと残りますよね。表向きは普通にやれているつもりでも、ふとした瞬間に昔の記憶がぶり返したり、周りから「親なんだから大切にしなきゃ」と言われるたびに、どこにも出口がない感じがすることもあると思います。私自身、親子という言葉の重さにずっと戸惑ってきた側です。 この本が刺さるのは、そういう“割り切れなさ”を無理に整理しようとしないところです。読者が保存していた箇所にもありますが、日本では親子愛が強く信じられすぎていて、そこから外れると自分が悪いように思わされがちです。寺田さんの語りは、その前提そのものをそっとずらしてくれます。たとえば「泣く理由が自分でも説明できない瞬間がある」という描写に、立場や経験を問わず心が揺れるのは、自分でも気づかなかった感情の層が言語化されていくからだと思います。 さらに、この本の良さは“関係を修復しましょう”と押しつけてこないところです。距離を取ること、怒りを抱えたままでも生活を続けること、看取るかどうかを自分の基準で決めること。そのどれもが否定されずに扱われていて、読み終わるころには「親子だからこその複雑さを、そのまま持っていていいのかもしれない」と少し呼吸がしやすくなります。 こんな人に刺さる本です。親との関係を誰にも説明できないまま抱えてきたけれど、そろそろ自分の感情に名前をつけたいと思っている人。
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