
母という呪縛 娘という牢獄
齊藤彩
講談社 / 2022-12-16
累計読者数17
平均ハイライト数 6.6件/人
推定読了時間 約3時間24分
star総合評価 55/100
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この本について
親との距離感にずっとモヤモヤしてきた人って、どこまでが「普通」で、どこからが「しんどさ」なのか分からなくなることがあります。期待に応えたくて嘘を飲み込みつづけたり、成績や機嫌で家の空気が決まったり、自分の感情より「どう思われるか」を優先するクセが抜けなかったり。読者の方が保存していた抜粋を見ていると、その感覚に心当たりがある人が多いんじゃないかと思いました。 この本が効くのは、親子関係のしんどさをただ「つらかった」で終わらせず、どうしてそうなるのか、当事者の目線で具体的に追えるところです。たとえば、嘘をつかざるを得なくなるプロセスが細かい描写で語られていて、単なる「毒親」というラベルでは片づけられない積み重ねが見えてきます。また、白黒つけないと落ち着けない性格になっていく背景や、親の「良かれ」がどこで暴走していくのかが丁寧に描かれていて、自分の家庭を振り返るきっかけにもなると思います。そして、裁判の場面で初めて自分のしんどさが理解される瞬間は、誰かに分かってほしかった気持ちを思い出す人もいるかもしれません。 自分の家族を「どこかおかしかったのかもしれない」と薄々感じてきた人に、静かに刺さる本です。親を責めるでも擁護するでもなく、当事者の足取りと混乱をそのまま追うことで、自分の感情に名前をつける手がかりが見えてきます。
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出版社による紹介
深夜3時42分。母を殺した娘は、ツイッターに、 「モンスターを倒した。これで一安心だ。」 と投稿した。18文字の投稿は、その意味するところを誰にも悟られないまま、放置されていた。 2018年3月10日、土曜日の昼下がり。 滋賀県、琵琶湖の南側の野洲川南流河川敷で、両手、両足、頭部のない、体幹部だけの人の遺体が発見された。遺体は激しく腐敗して悪臭を放っており、多数のトンビが群がっているところを、通りかかった住民が目に止めたのである。 滋賀県警守山署が身元の特定にあたったが、遺体の損傷が激しく、捜査は難航した。 周辺の聞き込みを進めるうち、最近になってその姿が見えなくなっている女性がいることが判明し、家族とのDNA鑑定から、ようやく身元が判明した――。 髙崎妙子、58歳。 遺体が発見された河川敷から徒歩数分の一軒家に暮らす女性だった。夫とは20年以上前に別居し、長年にわたって31歳の娘・あかりと二人暮らしだった。 さらに異様なことも判明した。 娘のあかりは幼少期から学業優秀で中高一貫の進学校に通っていたが、母・妙子に超難関の国立大医学部への進学を強要され、なんと9年にわたって浪人生活を送っていたのだ。 結局あかりは医学部には合格せず、看護学科に進学し、4月から看護師となっていた。母・妙子の姿は1月ころから近隣のスーパーやクリーニング店でも目撃されなくなり、あかりは「母は別のところにいます」などと不審な供述をしていた。 6月5日、守山署はあかりを死体遺棄容疑で逮捕する。その後、死体損壊、さらに殺人容疑で逮捕・起訴に踏み切った。 一審の大津地裁ではあくまで殺人を否認していたあかりだが、二審の大阪高裁に陳述書を提出し、一転して自らの犯行を認める。 母と娘――20代中盤まで、風呂にも一緒に入るほど濃密な関係だった二人の間に、何があったのか。 公判を取材しつづけた女性記者が、拘置所のあかりと面会を重ね、刑務所移送後も膨大な量の往復書簡を交わすことによって紡ぎだす真実の物語。 獄中であかりは、長年別居していた父の手厚いサポートを受け、多くの「母」や同囚との対話を重ねた。そのことが、あかりに多くの気づきをもたらした。 一審で無表情のまま尋問を受けたあかりは、二審の被告人尋問で、こらえきれず大粒の涙をこぼした――。 気鋭の女性記者が、殺人事件の背景にある母娘の相克に迫った第一級のノンフィクション。
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