
ことばの危機 大学入試改革・教育政策を問う (集英社新書)
阿部公彦、沼野充義、納富信留、大西克也、安藤宏、東京大学文学部広報委員会
集英社 / 2020-06-22
この本について
最近、人と話していて「なんでこんなに言葉が通じないんだろう」とモヤっとすることが増えました。自分の発言が意図せず曲がって受け取られたり、逆に相手の言葉の背景がつかめなかったり。情報はたくさん流れてくるのに、理解そのものはむしろ難しくなっている感じがします。 この本は、そういう日常の違和感を「国語」や「ことば」の根っこの話から捉え直してくれる一冊でした。特に刺さったのは、言葉はそもそも通じないものだという前提に立っている点です。通じないからこそ、相手の文脈を推し量る力が必要になるし、そこからしか本当の対話は生まれない。普段の仕事でも、論理とか実用スキル以前に、この揺らぎを扱う感覚が抜け落ちているせいで噛み合わなくなっている場面を思い出しました。また、文章は書いた瞬間から自分を離れて他者性を持ち始めるという指摘も、SNSでの誤解や炎上にそのまま重なりました。 言語をきちんと扱うというのは、効率よく伝える技術よりも、まず「通じなさ」を受け止めることなんだなと感じさせられます。ここを押さえておくと、会議でのすれ違いや情報の断片化に振り回されにくくなるし、相手の世界のルールを丁寧に読み取る姿勢も戻ってきます。 「わかりやすさばかり求められる今の空気に、ちょっと疲れている人」に静かに効く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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