
患者の話は医師にどう聞こえるのか――診察室のすれちがいを科学する
ダニエル・オーフリ, 原井宏明, and 勝田さよ
みすず書房 / 2020-11
この本について
病院に行くと、こちらの話がうまく伝わらないまま診察が終わってしまうことってありますよね。自分の困りごとは三十秒もしないうちに方向転換されるし、医師の説明もどこか途中から噛み合わなくなる。相手が悪いというより、お互いに「わかってほしいこと」がすれちがったまま流れていく感じが続くと、なんだか自分の体のことなのに主導権がないようで落ち着きません。 この本は、そのモヤモヤを感情論でなく“どう起きているのか”を丁寧に見せてくれます。例えば、患者が話したい内容の平均は92秒なのに、多くの診察では30秒以内に話を遮ってしまうこと。医師も患者も悪気はなく、むしろ「正しく伝えたい」と焦るほど会話がずれていくこと。さらには、診察台に移動しただけで会話の質が変わるように、場のつくり方ひとつで関係性がまったく違うものになること。読んでいると、医師側の不安や迷いもよくわかるので、こちらが「どう話せばいいのか」も自然と見えてきます。 医療の専門知識を学ぶ本というより、「人が誤解する瞬間の仕組み」を扱った本として読めるので、ふだんの会話や仕事の相談にも十分応用できます。誰が悪いでもなく、ただ順番や前提の違いで伝わらなくなる――そんな場面に心当たりがある人には刺さると思います。 診察室でのすれちがいを見つめながら、自分の伝え方や相手の受け取り方の“現実”を少しだけ整えたい人に向いた一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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