
生の短さについて 他二篇 (岩波文庫)
セネカ and 大西 英文
岩波書店 / 2012-11
この本について
時間の使い方がずっと下手なまま大人になってしまった感じがあって、仕事が立て込むわけでもないのに「今日は何をしたんだっけ」とぼんやり終わる日があります。焦るほど予定を詰めるのに、いざ時間ができるとどう扱っていいのか分からなくなるあの感じ。おそらく、抜粋の多くに反応している方も、似たようなモヤモヤを抱えているんじゃないでしょうか。 セネカの『生の短さについて』は、時間管理のコツを教えてくれる本ではなくて、自分が日々どんな態度で時間に接しているのかを静かに突きつけてきます。「誰もが他人のために自分を費やしている」「閑暇を享受しているという自覚が必要」という指摘は、忙しさの質を見直すきっかけになりますし、「今を生きる」という言い古された言葉を、逃避ではなく“継続する現在”として捉え直す視点もあります。未来ばかり見て現在を疎ましく思う癖に気づくと、行動よりもまず姿勢が変わる感覚があります。 そしてこの本の魅力は、セネカ自身が病弱で、理想に届き切れない自分と格闘していたという点にあります。読む側も背筋を正されるというより、「自分も途中にいるだけだ」と少し呼吸がしやすくなる。失われた時間は返ってこないけれど、残された時間の扱い方は変えられる、その当たり前をちゃんと受け取らせてくれます。 未来に急かされて現在が薄くなる人、自分の時間がどこか他人事になっている人には、特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの53%が集中しています。
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