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共感という病

共感という病

永井陽右

かんき出版 / 2021-07-16

累計読者数7
平均ハイライト数 17.4件/人
推定読了時間 約2時間25分
star総合評価 66/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 65%

この本について

最近、議論がすぐ噛み合わなくなったり、相手の言葉の「意図」が読めなくて疲れることが増えました。共感しようとしているはずなのに、むしろ距離ができていく感じがして、何が正解なのかよくわからなくなるんですよね。そんなときに『共感という病』を読むと、共感そのもののクセや限界を、いったん落ち着いて見直せる感覚がありました。 この本が効くのは、まず「自分が共感しやすい対象・しにくい対象には偏りがある」と認めるところからスタートしている点です。誰にでもある本能の傾きに気づくことで、目の前の議論を感情でジャッジしすぎない“足場”ができるのが大きいと思います。さらに、相手の主張を言い換えて確認するという、ごく地味だけど効果のある対話の方法が具体的に書かれていて、仕事でも私生活でもそのまま使えました。そして、人権という「理性的な基準」を軸に他者を見る姿勢は、共感の有無で人を選んでしまいがちな自分をいったんリセットしてくれます。 共感しようとして疲れてしまう人、対立が起きるたびに「どう話せばよかったんだろう」と引きずりがちな人には刺さるはずです。私自身、相手を理解できない不安を抱えたままでも、どう向き合うかは選べるんだと少し肩の力が抜けました。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

内田樹氏、石川優実氏とのロング対談収録! ビジネス、政治、恋愛、趣味―― 至るところで重要視される「共感」。 その負の側面を明らかにし、 あるべき向き合い方を考察する。 【はじめに】より抜粋 共感はこの社会において、人々を繋げ、連帯を生み出し、時には社会や世界を良くしていくものとして、基本的にポジティブに語られています。 そしてそれのみならず、日々の人間関係においても共感の重要性は語られますし、ビジネスの領域においてもマーケティングからプレゼンテーションまで、一つの鍵となっています。 しかし同時に、私たちは共感といったものの胡散臭さも感じてきました。東日本大震災に対する「絆」に始まり、ラグビーワールドカップでの「ワンチーム」、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた「団結」など、それ自体は素晴らしいアイデアではありますが、どこかそうした美しい概念が本来の目的を超えた何かに対して恣意的に使われてきた節もありました。 たしかに「絆」や「ワンチーム」「団結」の内部は、最高に気持ちが良くて恍惚すらできるものですが、よく見てみると、その中にいない人がたくさん存在していることに気が付きます。むしろ外側にいる人に対して排他的であることも珍しくありません。「共感し合おう」「繋がっていこう」と言うと、なんとなく無条件に良いものである気がしますが、繋がっていくからこそ分断していくとも言えるわけです。 私はテロと紛争の解決というミッションの下に、テロリストと呼ばれる人々の更生支援やテロ組織と呼ばれる組織との交渉などを仕事としていますが、こうした仕事の中で、いかに共感の射程が狭いかということを嫌と言うほど味わってきました。 そうした立場として、言えることはないだろうかと考えました。共感に関する研究は、脳科学的な研究をはじめにさまざまありますが、共感に向き合う実践から生まれる見解や、より実践的な意見というものもあるはずだとも思いました。 そんな想いで共感に関する本や論文を読んだり、識者の方々と対談をさせていただいたりして、自分の考えを深めていきました。その結果、今回このような書籍となりました。 私は共感が全て悪いとは思っていませんし、そんなことを言うつもりも毛頭ありません。むしろ社会と世界を良くするために間違いなく重要な要素だと思うからこそ、共感が持つ負の面を理解し、自覚し、うまく付き合っていく必要があると思うのです。 本書はそうした理解の下で、共感を考察し、共感の捉え方や共感以外の手がかりを考えるきっかけを投げかけていきます。
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