
心はどこへ消えた? (文春e-book)
東畑 開人
文藝春秋 / 2025-02-05
この本について
最近、人の気持ちをうまく受け止められなかったり、自分の変化に心がついてこない感じが続いていました。仕事の環境が変わったり、日常のリズムが乱れたりすると、理由は説明できないのに「なんかしんどい」としか言えない時期ってありますよね。頭ではわかっているのに、心は別のところにいる感じというか。 東畑開人さんの『心はどこへ消えた?』は、その“心が遅れてくる感じ”をとても丁寧に扱ってくれる本でした。変化は劇薬だから、一気に飲むと壊れる。でも、拒絶しても壊れる。だから、少しずつ舐めるように受けとっていけばいい、という説明が妙に腑に落ちました。自分のペースが遅いんじゃなくて、心が本来そういう動き方をするだけなんだ、と。 もう一つ救われたのは、「小さな物語」がちゃんと心の居場所になるという視点でした。感染者数の“3”みたいな数字に押しつぶされていた時期でも、そこには誰かの事情や後悔ややさしさが確かにあったはずで、その粒立ったエピソードを丁寧に見ようとすると、自分の生活にも奥行きが戻ってくる感じがします。誰かと一緒に様子を見る時間が、心の回復を静かに進めてくれる、という話もすごく現実的でした。 「最近、心がどこにいるのかよくわからない」という人にしっくりくる一冊だと思います。大きな答えを求めているわけじゃないのに、世界のスピードだけが速くなってしまったように感じるとき、この本は心の輪郭をそっとなぞり直してくれるような位置づけでした。
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